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自分の葬式を、まさか空から眺めるとは思わなかった。唯一の心残りは、最期まで息子と仲違いしたままであったこと。残念ながら、葬式の席に息子の姿はない。なぜ意地を張ってしまったのだろう。今さら彼に、どう気持ちを伝えれば良いのだろう。

息子は、私の持ち物を全て捨てるよう、業者に依頼したようだ。作業服を着たスタッフが、私の部屋を黙々と片付け始める。見ず知らずの人の手を煩わせてしまい、なんだか申し訳なく、そしてありがたくも思った。

ふと、スタッフが押入れの奥の木箱に気付く。蓋を開けると、紙製のロボットが顔を出す。息子が小学生のときに作ったものだ。色褪せているが、入学式の写真もある。当時の私は幸せそうに笑っていた。

「本当に捨ててしまって良いのでしょうか」――スタッフはそう言い、息子にその木箱を差し出した。数秒の沈黙の後、「…その辺に置いておいてください」とぶっきらぼうに呟く息子。しかし私は、彼が安堵の表情をした瞬間を見逃さなかった。

不思議なことに、私の心はすっと軽くなる。そして、そのまま天国へと旅立った。